録画ではなく、会場で直接に見たい試合があったので
全日本剣道選手権を観戦してきました。
平成27年11月3日(祝)
第63回全日本剣道選手権大会
結果:
優勝:西村 英久(熊本県 25歳)
二位:勝見 洋介(神奈川県 29歳)
三位:梅ケ谷 翔(20歳 福岡県)・竹下 洋平(大分県 27歳)
優秀選手:安藤 翔(北海道25歳)・高見 優(神奈川県28歳)・
正代 正博(東京都 31歳)・笹川 哲平(佐賀県32歳)・山田 侑希(奈良県 23歳)
竹ノ内 佑也(福岡県22歳)
観戦したかった試合は、
22歳の若武者×38歳の超ベテランの試合・・・

あっ、ベテランの引き胴!

若武者のものすごく伸びる面

ベテラン、超得意の小手・・・
そして、延長戦・・















「面あり」!!!???!!!???・・・・
さて、先月から「有効打突」について色々と考えてきましたが
「有効打突」の条件に照らしてこの場面を考えてみると
条件は、「理合」の部分と「残心」の部分で成り立っています。
「充実した気勢、適正な姿勢をもって、
竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、
残心あるもの」とされていて
キーワードは
「充実した気勢」「適正な姿勢」「竹刀の打突部」
「打突部位」「刃筋正しく」「残心」となります。
このときの「理合」の内容は「要素」と「要件」から整理されていて
要素は、
「間合・機会・体さばき・手のうちの作用・強さと冴え」がキーワードです。
また、要件は、
「姿勢・気勢(発声)・打突部位・竹刀の打突部・刃筋」がキーワードです。
後からビデオ録画で拝見していて
(
あくまでも、ビデオ録画からの私の反省です)
この場面で両者互角だったと思われる条件は
「充実した気勢」「適正な姿勢」「竹刀の打突部」「残心」
両者互角だった要素は
「間合・機会・体さばき・手のうちの作用・強さと冴え」のすべて・・
両者互角だった要件は
「姿勢・気勢(発声)・竹刀の打突部」
条件と要件を満たしていなかった(?)のは
小手の際の「打突部位」(?)、面の際の「刃筋」・・
だとすれば
ルール論的に意地悪く考えれば
建前としては、両者不十分?????
両者、高速移動で縦横無尽・・
試合の流れの上では、小手が先(さき)、面が後(あと)・・・
「小手」の場合は
打突音で部位を捉えていたかどうかが判断されたのかもしれません・・・
「面」の場合の「刃筋」は
審判の立位置によって判断出来るときと出来ないときがあります。
(しかも、一流選手は、刃筋の狂いよりも打つことを優先し
打突後のすばやい立て直し残心姿勢で
打突瞬時の動作の乱れを処理するという高度な技能も持っています・・)
う〜ん・・・・・
ここで月刊「剣窓」410, 6, 2015の鴨志田恵一剣窓編集委員の言葉を借りれば
「実力伯仲した著名な剣道専門家同士の技量・体力は
筆者や観衆らには想像もつかないが、
試合内容そのものと戦っているのは、実は審判である。
審判の脳と試合者の脳の間に心が作られないと、一本の判定が表現されない。
(〜中略〜)に旗が揃ったのは、
長い葛藤の果ての5者による一瞬の心の創造であろう。」
なので、審判には、
選手の気迫、選手関係者や観衆の期待に負けないだけの胆力や覚悟
が必要になります。
加えて、
選手や周囲との対立ではなく、
調和のために内的に運動共感することも必要と考えます。
また、審判者の立場に立ってその場面を振り返る時
私だったら
「ひょっとして、あの場面は逆の判定でも良かったのではないか・・」
と後から悩むような、
とても難しい攻防であったようにも思われます。
剣道の試合を審判するという役目は、とても難しいものだと改めて感じました。
愚考を述べました。お許しください。
直接観戦できて、とても勉強になりました。
お二人の素晴らしい試合に敬意を表します。
新潟県代表の神保選手は3位になった竹下選手に
残念ながら一回戦で惜敗しました。

神保選手の伸びのある面