2016年02月15日

恩師の面(その2)2016

館長備忘録 セカンドシーズン(8)
突き抜けることを祈念しています。

なのに、痛めた肩が完治せず
稽古ができないという稽古の中で悶々としています。
面が打ちたい・・・
ので、恩師の面を振り返り、
よいイメージを持ちながら
これからの糧にしたいと思います。

2016年01月20日07時57分39秒0001_512.jpg
平成15年12月とありますので
私、40代半ば、
大学時代の恩師、佐藤成明範士は60代後半?

私のどた〜とした面に対して
きれいなパワーラインに乗って出頭面を打たれています。

これが大事なんだよね・・・

恩師の今井範士の場合以上に
こちらがボヤボヤしていると
さっさと面に乗ってこられる佐藤範士なので
負けじとばかりに面打つと
たいていはこんな風に出端を打たれてしまいます。

かといって、
打つ前に様子を伺っていると
馬庭念流で有名な「そくい付け」
みたいな竹刀の操作でこちらの竹刀の自由が奪われ
結局は面、打たれるんだよね・・・
悔しいから小手を打ったことあったけど
その夜の飲み会の席で
「あんなのダメ!」って叱られたし・・

この「そくい付け」系の打ち出しを比較的継承したのが
群馬のタニクジラちゃんかなぁ。





posted by カン at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 剣道覚書

恩師の面2016

館長備忘録 セカンドシーズン(7)
突き抜けることを祈念しています。

なのに・・
肩が治らず・・・
稽古ができないという稽古を約1か月続けています。

さすがに凹んでいるので
ブログ更新も意欲低減です。
前回から、3週間の空白期間になってしまいました。

本日は、前回のサクド〜師の「後ろ姿」に続いて
「恩師の面」

2016年01月20日07時56分28秒0001_512.jpg
この写真、約30年前の偶然の写真です。
私が多分29歳位で
大学時代の恩師、故今井三郎範士(多分67歳位)との稽古風景です。
上越市での講習会に来られた時のものだと思います。

若い私は、必死に面に合わせていますが((みっともない打ち方です・・)
恩師は、しっかり打ち切っているのが伺われるワンショットです。

私の大学の系統の師匠たちは
元立ち稽古というよりは
私たちがボヤボヤしていると
さっさと先に面に打ち込んでこられるのが特徴です。
返したり、すりあげたりは、あまり無かったように記憶しています。
出小手はあったかな。
それを象徴するかのような思い出の写真です。

あれから30年・・
面にこだわりを持って稽古してきましたが
さて、今の私は
少しは師匠たちに近づけたのでしょうか。
posted by カン at 17:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 剣道覚書

2015年11月06日

鍔迫り合いの解消2015覚書

このブログで昨年書いた
「良い子は真似しないようにお願いします『巻き技』2014」
のアクセスが
今年の全日本選手権の後に急増している。
カウンターでみると、この数日間で300件以上・・・
優勝者のN選手、
今年も披露しましたもんね、「竹刀の弾き飛ばし」・・・
皆が検索したくなるほど反響が大きいということなのでしょう・・・
でも、私は去年書いたことだから、今年はもう何も言わない。

それ以外には
今年の全日本剣道選手権を観戦していて
若い選手の鍔迫り合いの解消(?)の仕方が気になったので
それに関連して
「運営要領の手引き」における副審の「止め」の宣告について
備忘しておきます。

これは、
全剣連後援指導者講習会(審査員対象)in 新潟2015
の時の覚書でもあります。
日時:平成27年10月17日(土)10:00-16:00
会場:黒崎地区総合体育館
講師:田口栄治範士8段・東良美教士8段

「運営要領の手引き」
○判定に関する権限は審判員三人が同等であるが、
膠着や不当な鍔迫り合いに関する処置は、
試合の運営に関わる主審の専決事項である。
したがって、副審は「止め」を宣告することができない。

〈事例8〉
p27 鍔迫り合いが解消したと判断するのはどのような時か

〈解説〉
@鍔迫り合いから打突の行動に移った時、
または何らかの行動を起こした時が鍔迫り合いの解消の端緒となる。

≪平成27年3月≫
上記〈事例8〉の解説のように、
鍔迫り合いを解消した後は、単なる「競り合い」であり、
副審にも同等の権限が生じ、
不当な行為を認めた場合には、「止め」を宣告できるものとする。

この「副審にも同等の権限が生じ、
不当な行為を認めた場合には、「止め」を宣告できるものとする。」
について講師の先生に、さらに個人的にお聞きしました。
この解釈は
「不当な行為」というのは「公明正大でない場合」のこと、
「『止め』を宣告できるものとする。」というのは、
「ということもありうる」
という意味で理解してほしいということでした。
副審からバンバンと「止め」をかけてよいということではない
とのことです。
そのような場合も
「本来は主審」であることに変わりはないということでした。

以上、簡単ですが、「鍔迫り合いの解消」に関する覚書です。
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2015年11月05日

剣道の審判はむずかしいものです2015

録画ではなく、会場で直接に見たい試合があったので
全日本剣道選手権を観戦してきました。

平成27年11月3日(祝)
第63回全日本剣道選手権大会
結果:
優勝:西村 英久(熊本県 25歳)
二位:勝見 洋介(神奈川県 29歳)
三位:梅ケ谷 翔(20歳 福岡県)・竹下 洋平(大分県 27歳)
優秀選手:安藤 翔(北海道25歳)・高見 優(神奈川県28歳)・
正代 正博(東京都 31歳)・笹川 哲平(佐賀県32歳)・山田 侑希(奈良県 23歳)
竹ノ内 佑也(福岡県22歳)

観戦したかった試合は、
22歳の若武者×38歳の超ベテランの試合・・・

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あっ、ベテランの引き胴!

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若武者のものすごく伸びる面

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ベテラン、超得意の小手・・・

そして、延長戦・・

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「面あり」!!!???!!!???・・・・

さて、先月から「有効打突」について色々と考えてきましたが
「有効打突」の条件に照らしてこの場面を考えてみると
条件は、「理合」の部分と「残心」の部分で成り立っています。
「充実した気勢、適正な姿勢をもって、
竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、
残心あるもの」とされていて
キーワードは
「充実した気勢」「適正な姿勢」「竹刀の打突部」
「打突部位」「刃筋正しく」「残心」となります。
このときの「理合」の内容は「要素」と「要件」から整理されていて
要素は、
「間合・機会・体さばき・手のうちの作用・強さと冴え」がキーワードです。
また、要件は、
「姿勢・気勢(発声)・打突部位・竹刀の打突部・刃筋」がキーワードです。

後からビデオ録画で拝見していて
あくまでも、ビデオ録画からの私の反省です)
この場面で両者互角だったと思われる条件は
「充実した気勢」「適正な姿勢」「竹刀の打突部」「残心」
両者互角だった要素は
「間合・機会・体さばき・手のうちの作用・強さと冴え」のすべて・・
両者互角だった要件は
「姿勢・気勢(発声)・竹刀の打突部」

条件と要件を満たしていなかった(?)のは
小手の際の「打突部位」(?)、面の際の「刃筋」・・
だとすれば
ルール論的に意地悪く考えれば
建前としては、両者不十分?????

両者、高速移動で縦横無尽・・
試合の流れの上では、小手が先(さき)、面が後(あと)・・・
「小手」の場合は
打突音で部位を捉えていたかどうかが判断されたのかもしれません・・・
「面」の場合の「刃筋」は
審判の立位置によって判断出来るときと出来ないときがあります。
(しかも、一流選手は、刃筋の狂いよりも打つことを優先し
打突後のすばやい立て直し残心姿勢で
打突瞬時の動作の乱れを処理するという高度な技能も持っています・・)
う〜ん・・・・・

ここで月刊「剣窓」410, 6, 2015の鴨志田恵一剣窓編集委員の言葉を借りれば
「実力伯仲した著名な剣道専門家同士の技量・体力は
筆者や観衆らには想像もつかないが、
試合内容そのものと戦っているのは、実は審判である。
審判の脳と試合者の脳の間に心が作られないと、一本の判定が表現されない。
(〜中略〜)に旗が揃ったのは、
長い葛藤の果ての5者による一瞬の心の創造であろう。」

なので、審判には、
選手の気迫、選手関係者や観衆の期待に負けないだけの胆力や覚悟
が必要になります。
加えて、
選手や周囲との対立ではなく、
調和のために内的に運動共感することも必要と考えます。

また、審判者の立場に立ってその場面を振り返る時
私だったら
「ひょっとして、あの場面は逆の判定でも良かったのではないか・・」
と後から悩むような、
とても難しい攻防であったようにも思われます。
剣道の試合を審判するという役目は、とても難しいものだと改めて感じました。

愚考を述べました。お許しください。
直接観戦できて、とても勉強になりました。
お二人の素晴らしい試合に敬意を表します。

新潟県代表の神保選手は3位になった竹下選手に
残念ながら一回戦で惜敗しました。
シンボ面_512.jpg
神保選手の伸びのある面
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2015年10月22日

審査員研修会2015がありました(その5)

「審査員研修会がありました2015」に関する覚書は今日でお終い。
剣道昇段審査に関して
審査員の寸評を「剣窓」から備忘します。

月刊「剣窓」410, pp.25-28, 2015
審査会寸評より

まず、真砂威範士は
(前略)・・、最近の審査の傾向として
「正しい着装と礼法」と「適正な姿勢」については、
申し分ない方が多いように見受けられます。
一方、
「基本に即した打突」においては様々な難点が目につきます。
ぜひ、根本的に日頃の稽古から見直していただきたいものです。
その着眼点で、ただ一つネックとなっているのが「勝負の歩合」です。
この、勝負の歩合を重視過ぎると、
いきおいなりふり構わぬやり取りに陥ってしまうからです。
日ごろ負けん気の勝負稽古に終始している人が、
審査の時だけ「基本に即し・・・」と取り繕っても、
いかんせん付け焼刃、
かえって動作にぎくしゃく感が生じ、
審査員には「練熟度」に欠ける、と映るものです。
そのような状況下で、
力みだって放たれた面技など上体が不安定で、
しかも打ち抜けが冗長とくれば、
これまた「鍛錬度」が低いと評価されて然るべしであります。
もちろん、勝負の歩合も大事な着眼点の一つではありますが、
敢えて着眼点の最後尾に揚げてある意味合いを斟酌していただきたいと願うものです。
さらに、6段以上には、「理合」「風格・品位」といった
曰く言い難し、高度な要素が求められます。
間合いを重視した攻め、一触即発の間、真際のタメ。
機会を得た必然の有効打。
そして、それらプロセスの再現性などです。
洗練された趣や味わいも、こういった修練を積み重ねることによって、
自ずと身に備わってくるものと考えます。
・・(後略)・・

次に、末平佑二範士は、
1. 打ち合うより攻め合う
審査は限られた極めて短い時間で行われます。
そのため、打突の前に気力を充実させる、
いわゆる溜めを作れないうちに剣先の攻防もなく打ちに出る、
打ち急ぎの場面が多く見られました。
剣道は打ち合いでなく、攻め合いである
という意識で普段の稽古に努めていただきたいと感じました。
2. 冴えのある打ちを目指して
(前略)・・
体力面からかそれとも応じ技主体の剣風のせいか、手
打ちの技が散見されました。
しっかりとした構え・握りと踏み込み動作から冴えのある打ちが生まれることから、
基本の打ち込みを日々の稽古の中で
少しずつでも継続するよう心掛けていただくことを願っています。
3. 姿勢と心を常に崩さない
歳を重ねるにつれ「体」は衰えていきますが、
「心」と「技」は際限なく発達していくと言われます。
打たれたくないという剣道に固執することなく、
打っても打たれても姿勢や心を崩さない
という意識で稽古されることが、
特に6段・7段審査の着眼点である
@理合、A風格・品位
のある剣道にもつながっていくものと感じました。

以上です。

「間合いを重視した攻め
一触即発の間
真際のタメ
機会を得た必然の有効打
そして、それらプロセスの再現性」

私は稽古上の大きな課題と受け止めました。

posted by カン at 08:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 剣道覚書

2015年10月03日

審査員研修会2015がありました(その4)

先回の審査員研修会2015にも関係することで
大阪のサトウ8段がとても良いことをFBに記載されていたので紹介します。
受験生にも参考になります。

「昇段審査」
審査は、称号段位審査規則及び細則に基づいて行われています。
しかし、受験者の多くは
「持っていない、内容を見たことがない」と答えられます。
剣道は、活字から勉強することも非常に大事です。
活字から内容を読み取り、
そのイメージを膨らませることが
自分の理想とする剣道に近づいていくのではないでしょうか。
<審査の着眼点>
「当該段位相当の実力があるか否かを審査する」とされています。
しかしそれは
「打った打たれたでない、年齢性別にあった理合」
を審査しているのであり、
”絶対評価プラス相対評価”により審査されています。
絶対評価のみということでしたら、
仮に三段受験者であれば
18歳も70歳も同じ実力でなければならなくなり、
スピードや力であれば若い者に太刀打ちできなくなります。
老齢であっても、
はつらつとした剣道、枯れた技の使いかた。
女性であれば、
身のこなし、技の美しさ、動じない心。など

審査員は、下記の着眼点に基づき
年齢性別と当該受審段位にあった理合を見ているのです。
@正しい着装と礼法
A適正な姿勢
B基本に則した打突
C充実した気勢
D応用技の熟練度
E鍛錬度
F勝負の歩合
ー六段以上ー  
@理合       
A風格・品位
特に風格・品位は、一朝一夕で身につくものではありません。
これは、「気位」とも言い、
鍛錬を積み重ねたことによって得られた自信から生まれる「威風・威力」です。
「有効打突の構成要件」を一本一本の技そして気の緩む事の無きよう
「始まりの礼から終わりの礼まで」「目の詰まった稽古」を心がけてください。

少しの心掛けで
稽古の内容は一変して良くなります。
時間はまだ豊富にあります。
今日の一本の稽古から気迫あふれる理合いにともなったった稽古を心掛けてください。

ということです。
如何でしょうか。
サトウ8段、ありがとうございました。
posted by カン at 12:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 剣道覚書

2015年09月29日

審査員研修会2015がありました(その3)

もう9月が終わる。
今月開かれた審査員研修会2015のまとめが終わっていなかったので
少しずつ書き溜めていたものをアップします。

今日は、昇段審査の基準について
(今日も少し長いよ・・)

全日本剣道連盟は、剣道の理念を
「剣の理法の修練による人間形成の道」とし、
その「剣の理法」の修練の成果を明確にする手段として「試合」があり、
そのような修練の奨励や向上に資する目的として「段位制度」を置いています。

まず、試合の話です。
剣道の試合にはルールが定められていますので
剣道も現代のスポーツ競技のひとつに分類されます。
(「武道!」という議論は、横に置いといてください。)
そして
世界中のスポーツの試合は
記録、採点、判定といった方法のどれかによって
競技の決着がつけられています。
その中で、剣道の試合は、
「芸道文化としての継承性の面からみて、
完全な競技化はできないことを前提として競技化している判定競技である。」(by 作道)
とされています。

では、
その試合では何を判定しているか 
「有効打突」の有無です。
有功打突(剣道試合・審判規則第12条)の条件は
皆さんがご存知の
「充実した気勢、適正な姿勢をもって、
竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、
残心あるもの」
という条件であって
有効打突の条件は「理合」の部分と「残心」の部分で成り立っています。

この「理合」の内容は
「要素」と「要件」から整理されていて
要素には、
間合・機会・体さばき・手のうちの作用・強さと冴えがあります。
要件には、
姿勢・気勢(発声)・打突部位・竹刀の打突部・刃筋があります。

「残心」は、
打突後の「身構え」と「気構え」の二面があるとされています。

一方、
(次、審査の話です)
昇段審査の場合は、何を判定しているか・・
「合否」です。
「合否」が判定されます。
合格かどうかを審査員は評価して判定しなければなりませんから
合格と不合格の境界を見積もるための「ものさし」が必要です。
この「ものさし」の目盛に相当するのが
段位審査の「付与基準」です。

審査は、
称号段位審査規則及び細則に基づいて行われていますので
その第14条に「付与基準」が示されています。
(この基準のなんとわかりにくいこと)
例えば、初段は
「剣道の基本を修習し、技倆(ぎりょう)良なるもの」
という「ものさしの目盛」があって
この目盛はこれだけでは読めないので
目盛の読み方を教えてもらう必要があります。
教えてくれている部分が審査上の「着眼点」です。

「段位審査実施要領」の中の「段位審査の方法」に
この着眼点の項目が示されています。
この着眼点が「ものさし」の「目盛」の読み方になります。

IMG_0151_512.jpg
初段ないし三段は
@正しい着装と礼法
A適正な姿勢
B基本に則した打突
C充実した気勢
で読み取ります。
4段および5段では、上記に加えて
D応用技の熟練度
E鍛錬度
F勝負の歩合
も読み取らなければなりません。
さらに、6段以上では
G理合       
H風格・品位
も読み取られます。

番号順に
重視されているのもが挙げられていると考えてよいと思います。

すると
誤解を恐れずに大まかに表現すると
初段から三段は
「見栄え」
4段と5段は
見栄えに加えて
業が実用的なレベルで用いることができるか
6段以上は
使いこなしたいぶし銀のような年期による
業の合理性(理合)
立ち振る舞いの風格や品位
が求められているということができます。

そして
短い審査時間を通して
技を起こすまでの運動経過の「質」と年期が問われているので
「質」が良ければ
極端な場合は
有効打突がなくても合格することもあるということです。
また
@正しい着装と礼法
ができていなければ
どれほど強くたって
いっぱつで不合格にして構わないということになります。

以上のように整理してみると
剣道昇段審査の審査員には
「審美眼」
が必要といえるでしょう。

ちなみに
日本の教育評価専門研究者の間では、
「きじゅん」は、
英語としては‘criterion’に「規準」を、
‘standard’に「基準」を充て、
教育界では
「のりじゅん」「もとじゅん」と読んで区別しています。

「広辞苑」では(「広辞苑第六版」2008年1月、岩波書店)。
「基準」:ものごとの基礎となる標準。比較して考えるためのよりどころ。
「―を設ける」「―を上まわる出来」「建築―」。
「規準」:「規」はコンパス、「準」は水準器の意) @規範・標準とするもの。
A [哲] (criterion)信仰・思惟・評価・行為などの則るべき手本・規則。規範。
であり

「評価規準と評価基準」(『教育評価事典』図書文化社、2006年6月、80頁)によると
「普通、評価を行うためには、
テスト得点や作品を比較したり、
照合したりするための何らかの枠組(判断のよりどころ) が必要である。
「評価規準」とか「評価基準」というのは
この照合の枠組(frame of reference) のことである。
評価の照合の枠組には
「何を評価するのか」という質的な判断の根拠と、
「どの程度であるか」という量的な判断の根拠の2つが必要である。
前者の質的な照合の枠組としては、
教育目標を評価目的の文脈に従って具体化した目標や行動を用いるが、
これを「評価規準(criterion)」という。
それに対して、
後者の量的・尺度的な判定解釈の根拠を「評価基準(standard)」という。
[中略]
語義としては、評価の枠組として、
質的な「評価規準」と量的な「評価基準」の2つを区別しておく必要があるが、
実際の評価は両者が一体的になされるので、
両者を含む概念として評価規準が用いられることもある。」
とされています。

剣道の審査の「きじゅん」では「もとじゅん」が使われています。

長い割には
まとまりのない終わり方になってしまいました。
審査員研修会2015の備忘ということでお許しください。
posted by カン at 14:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 剣道覚書

2015年09月18日

審査員研修会2015がありました(その2)

先日の審査委員研修会では
剣道試合の審判に際しての反則事項の見極めについて
色々と共通理解がはかられました。

小学生、中学生、高校生の学校種によっては
それぞれに申し合わせ事項やグランドルールが適用されていますが
大学剣道における審判会議での了解事項は以下のようになっています。

少し長いよ。

1 礼法
選手が開始の立礼から終了の立礼までの正しい礼法を行わない場合には指導する。

2 名札    
(1)大学名及び個人名を記入した正規の名札を着用しない選手は出場できない。
(2)同一大学からの出場選手に同姓者がいる場合は、
苗字の右下に名前の一字を入れ、区別できなければ出場できない。
尚、上記に該当する選手が発覚した場合は、
不正用具使用者として扱い、負けとし、相手に2本を与え、
既得本数および既得権を認めない。
 
3 有効打突  
打突後の残心(身構え、気構え)もしっかりと確認した上で有効打突を判定する。
打突後不適切な行為があった場合は合議の上、有効打突を取消す。

4 反則   
正当か不当か、行為の原因と結果を正しく見極め、
「公明正大」の観点で厳格に判断する。
(1)鍔競り合い
@「正しい鍔競りをしようとしているか、技を出そうとしているか、分かれようとしているか」
の3点をよく見極める。
不当な鍔競り合い(時間の空費・専守防衛的行為等)には、
合議の上で反則を適用し、再発を防止する。
A鍔競合いの解消は、原則、剣先が離れたところまでとするが、両者が五分の状態で分かれ次の展開に進んだ場合これに該当しない。      
B分かれ際の胸突きにより相手を引かせる行為は、至る原因も見極めた上で反則とする。
C安易に「分かれ」をかけない。
適正なつば競り合いで膠着した状態にあるかを見極めた上で「分かれ」をかける。 
(2)時間の空費
1本取得後に、時間空費を目的としてつば競り合いに入っていく行為
(左拳を上げた中段変形した構えなど)を見逃さない。        
(3)場外
身体接触後の場外は出た方を反則にするケースが多く見られるが、
不当な押出し、突き出しによる場外であるかどうかをよく見極める。
(原則として1打突1押し)
(4)不当な中止要請
中止要請については必ずその理由を問う。
正当性が疑わしい場合には合議の上、「公明正大」の観点で厳しく判断する。
(5)竹刀落としを目的とした行為
竹刀落としを目的に
強く叩く、鍔競り合いから竹刀をはねあげるなどの見苦しい行為に対しては、
第一条に照らし、行為を行った側を反則とする。
(6)その他不当な行為
@手で打突部位を隠す行為
A打突意志のない防御一辺倒の行為
B中段の三所隠しと同じく、上段においても見苦しい行為

5 合議 
(1)「止め」で双方の選手が開始線に戻ったところで、「合議」を宣告する。
(2)主審は双方の選手を境界線の内側で正座または蹲踞をさせた上で、
その後に試合場中央に進み合議に入る。副審が先に動いてはいけない。
(3)反則内容によっては主審の判断により選手に伝える。
(4)合議の後、主審のみが表示をし、宣告する。副審は表示をしない。

6 旗の表示  
審判員の有効打突の表示に対して、他の審判員も必ず表示を行う。
二人もしくは一人の審判員の表示がない場合は、
試合を中止し合議にて相互の表示を確認する。
主審が見逃している場合には審判主任が直ちに試合を止めて三人の表示の確認を求める。


7 位置取り  
(1)主審を頂点にして、試合者双方の手元の位置を通して二等辺三角形を保持する。
上段の試合者に対する位置取りに注意する。
(2)試合者と他の審判員の動き、流れを先取りして無駄のない動きをする。
(3)主審が素早く動き、常に試合者の中心を維持することにより副審も動きやすくなる。
副審も最短距離で移動する。 

8 その他
審判内容の検討    
各組が最初の審判を終えたごとに、審判主任を交え内容の検討を図る。 

そして、
「鍔競り合い」に関する審判の留意事項
1. 鳄競り合いが頻発する、あるいは長びく原因について
審判員は不適正性の僅かな差を厳しく見極めて
合議の後反則の宣告は必ず片方の選手に与える。

2、以下の諸点に特に留意する。(審判員は僅差であっても見逃さない)
(1)鳄競り合いの第一の要件は“鍔と鍔とが接する”ことであり、
その為には竹刀は 右傾前方に傾けられていなければならない。
直立していたり、剣先が自分のほうに傾むいていれば反則の対象となる。
(2)右手•右足を前にする剣道の対人的対応では、
裏鎬の側で交叉する(逆交叉)のは 適正、妥当な様相ではない。
瞬間的に逆交叉になることはあり得るものの、
直後には正当な表鎬側での交叉に直さなければならない。
故意に逆交叉した者、あるいは
右こぶしを体の中心より左側において鍔競り合いをする者は反則の対象となる。
(3)妥当な鳄競り合いは、相互に鍔元で相当の圧力をかけ合って競り合っていなければならない。
相手の力を故意に吸収して体を密着させる行為は反則の対象となる。3、
最も接近した間合い(鍔競り合い)からの引き技は、
相手の態勢を崩す
瞬時に間合いが切れるまでとびさがる技術
が伴っていなければならない。
中途半端な見せかけの引き技を発して、打突の意志ありと表現するのみでは、
鍔競り状態が長引くことになる。
審判員は両者の行動を見極めて、片方の反則を判断する。

4、鳄競り合い状態を解消するためには、
1)相手の態勢を崩すと同時に、
2)自らも潔く瞬時にとびさがって遠間をとる技術
が発揮されなければならない。
相手にも退くよう促して徐々に間を切ろうとする行為や、
中間から再び接近する行為は、鳄競り合いを長びかせる原因となる。
瞬時に分かれようとしない者は反則の対象となる。
審判員は両者の行動を見極めて、片方の反則を判断する。

となっています。

最後に
「不当な鍔競り合い」という表現を「試合・審判規則」では使っているのですが
「不当」と「不正」と「不法」と「違法」の違いは

「不当」は、必ずしも法(:試合・審判規則)に違反することではないが、妥当性を欠いていること。
「不正」は、正しくないこと。法(:試合・審判規則)の違反に限らず、義務違反等の場合にも使われる。 (「不正『竹刀』」、「規格外『竹刀』」)
「不法」は、実質的に法(:試合・審判規則)に反していること。
「違法」とは、言葉のとおり、法(:試合・審判規則)に違反すること。

となります。

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2015年09月14日

北信越地区合同稽古会2015がありました

日時:平成27年9月12日(土)13:30〜15:30
会場:上越市カルチャーセンター

正式名称は、
全日本剣道連盟主催(北信越地区)合同稽古会です。

北信越地区における剣道の普及発展のため
北信越地区を持ち回りで、年間に3回ほど開催されます。
この日の参加者は約60名。

北信越地区の8段者は現在11名ですが
この日は
山本範士(富山)、山下教士(石川)、佐藤、渡邊、白井、山田教士(新潟)
がお出でになりました。

約15分の基本稽古
150秒×10回の参加者廻り稽古
指導稽古
といった内容で、あっという間に2時間が過ぎてしまいました。

IMG_0133_512.jpg
基本稽古は大切です。
足を継がない一拍子の面打ちでバランスを崩す方が散見されました。
同段位者の廻り稽古では、奇妙な分争いをしないことが大切です。
待って小手や胴、迂回して面といったお相手にお願いすると、
切ない思いになります。
指導稽古の時間は、要領よく並んだり、待っている間に互角稽古することが大切です。
列後方に並んだだけで、1本も稽古せずに終わった方が随分おられたような印象でした。
もったいないことです・・・

この日の山田教士、山下教士、山本範士による
印象に残ったご指導をいくつか挙げると
・一本に対する本気度
・縁を切らない「半足の先」
・一足一刀での空間密度と一拍子の打ち
・礼法の充実
・三角矩(さんかくく)
・攻め込みと面、その時の左腰
といった点だったでしょうか。
後は忘れちゃいました・・

個別指導としては、佐藤(伸)教士に
長〜い時間、
「身の寄せ」の大事についてご教示いただきました。
「先」・「乗り」・「身の寄せ」・「余裕をもった予測と反射」
といったことでしょうか。

遠い間合いから
大きな開脚動作によるダイナミックな跳びこみ面の実用化を稽古しているのですが
一足一刀からの「身の寄せ」が加わると、剣道に緩急が出るかもしれない
な〜んて思ったりもしました。

稽古の工夫は楽しいものです。
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2015年07月13日

夏合宿 in 月影の郷2015がありました

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高田城公園のお堀も蓮が咲き始め
夏本番の気配を感じる中
恒例の
月影の郷合宿を行いました。

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日時:平成27年7月11日(土)・12日(日)
会場:上越市浦川原区 総合体験宿泊型施設「月影の郷」

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会場は元は小学校の跡地なので、
グランドで走ること(走らせること)もできます。

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小学校跡の体育館をお借りします。

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ちょうど良い広さの体育館です。

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稽古内容は
一拍子の面打ちの習得を中心におきました。
これが「攻め打ち」の基本になるのではないでしょうか。

右足の送りと剣先の同調
そして、左足の軸つくりをねらいとして
練習内容を工夫しました。

一度振りかぶってから打つような面打ちに比べれば
う〜んと難易度が上がります。
経験者の打突姿勢の矯正にも用いられるように
系統的に練習手順を配列して
子供たちに試してみました。

小学生の段階でこの打突動作が習得できていると
さらに高度な攻防を目指すことがが可能になります。
と思って、私自身も試みています。

高度な攻防というのは
例えば
サクド〜範士の「合気」と「合気はずし」
フジワラ範士の「間拍子のはずし」
ヒガシ8段の「左足の仕事」
カンザキ8段の「イチ、ニなんですけど、イチ、ニではないんですよね・・」
といった、判る方には判るあれです、あれ・・・

稽古の工夫は楽しいものです。





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2015年06月04日

世界大会も無事終わり、6月になりました2015

6月に入り、絶好の稽古日和が続いています。
稽古着も夏用に変えました。
腰も小康状態、というより
痛かったり、痺れていたりという自分の感覚を
無視できるようになったのかもしれません。
稽古時に腰サポーターをしておくと
後のダメージが少ないことも実感しています。
(気づくんが遅いねェ)

先日は、剣道の世界大会も無事(?)に終わりました。
私は、大学院入学者説明会の職務・出張があったので
世界大会はテレビで観戦しました。

その後、友人のフェイスブックなどを拝見すると
各国の選手団は大会後も日本に滞在し、
全国各地の大学剣道部や個人道場で稽古を続けられているようです。
勝ち負けに関係なく
これが彼らの「本当の世界剣道大会」なのでしょう。

くまもん_512.jpg
この大会記録で私の一番のお気に入り写真
(全剣連写真集?より)
こういうユル〜イのが、私的にはスキです。

しかし、
勝つことを宿命づけられた日本選手団や
剣道の覇権を祈念するお隣の国の選手団には気の毒ですが
大会後のネット上では、
審判問題を主とするいつもながらの論争が起きているようです。
中には傾聴に値する私論も散見されます。
剣道文化の将来のために
このような議論が全剣連のエラ〜イ先生にも伝わってほしいものです。

さて、
理念的に正しいと思うことを
どのように伝えるか。
情に流されずに
どのように伝えるか。
「情」と「義」をふまえて
伝えることができるか。
ということは
とても難しい作業です。
書き手の品位や人間性を損なわずに論争するというのは、
極めて高度な技術と強い精神力も求められるのものです。

ということを踏まえながら
でも
何か書きた〜い!ということで
私が10年以上前に書いた論文の一部を少し修正してアップします。
(長いよ・・)

・・全日本剣道連盟は、
剣道の理念を「剣の理法の修練による人間形成の道」とし、
現代剣道の関係者の大多数はこの理念の下で剣道を実践している。
また、修練の成果を明確にする手段として「試合」があり、
その奨励および向上に資する目的として「段位制度」が置かれている。
そして現在の段階では、
現代剣道はオリンピック化の方向性を受け付けておらず、
日本固有の「武道としての剣道」として位置付けられている。

このような理念、制度および組織の中で、
私たち剣道実践者は様々な価値を志向し、それぞれの正統性を追求している。
例えば、
競技を目的とする勝利志向の場合は、
その技術や取り組み態度において、
自分の竹刀をいかに相手の打突部位に当てて有効打突にするかに重点が置かれ、
打突のスピードやフェイント等のテクニックが求められるであろう。
それに対し、
武道としての伝統的価値観を継承するような自己鍛錬志向の場合では、
有効打突が成立するまでの間合いや打突の機会といった運動経過とその質に重点が置かれ、
気・剣・体が一致した打突ができる統制力や修養的取り組みが重視されるであろう。
あるいは、
その中間層として、比率は個人により違いがあるものの、
勝利志向と自己鍛錬志向を両立させようとする立場でその正統性を追求する場合もあろう。

これらのような剣道に関する志向性を配慮すると、
剣道文化は剣道を共通項に持った実践者と
それに付随する諸要素(剣道連盟、試合・審判規則、段位制度、志向性、歴史性等)が
社会的システムとして一定の自律性を持った社会といえる。

このような剣道社会において、
実践者や集団は、
それぞれの所属団体や剣道連盟が決める諸規則や規範などによって、
その正統性を押しつけられながらも、
力関係や立場、利害などをめぐって(無意識である場合が多いが意識的にも)
競争しあう関係に置かれている。
また、
このような競争がなされるからこそ剣道社会の存立が支えられている。
そして、
競争の結果としての位置関係の中で、
実践者や集団は、他の実践者や集団に対して、
精神面や技能面などの見方・区分を正統なものと認めさせるための競争(象徴闘争)をさらに繰り広げ、
様々な諸表象を産出しているのである。

ということを背景において考えると
今後の剣道界の普及・発展のためには
剣道実践者の様々な価値の志向性(勝利志向・自己鍛錬思考・中間タイプ)を満足させ
(正当性が満たされる)、
さらに
競争もできるような組織・経営戦略を
これからは検討していかなければならないということになります。





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2015年05月03日

京都審査2015

5月1日・2日
今年も審査会に来ました。
都道府県大会の試合後、腰が怪しげに疼きだしたので
予定していた稽古はキャンセルして安静にし、京都入りしました。
いつものことですが、前夜は緊張で眠つけず
朝も5時前には目が覚めて
仕方ないので、早朝の御苑周辺を散歩です。
以前は朝のジョギングでしたが
ジョギングは今の私の腰椎に負担が大きいので
ワイドスタンス・ウオーキングしています。

なんと!
早朝の御苑のベンチに座ってスマホをかまっているオジサンがいるなと思っていたら
居合・上越・イマイさんでした。お互いにビックリです。
人けの無い早朝の広い御苑で遭遇するなんて、不思議なことです・・

朝食には、ゆで卵食べて、7:00、京極の体育館に出発。
会場には早く着きすぎるのだけど
体育館は開いていて、稽古場所も開放されています。
アップは、大阪体育大学OBのダルマ君にお願いしました。
彼はよく肥えているので、打ち込み相手として的が大きくて最適です(失礼)。

私は、第4会場の前半。
今回は今まで以上に期するものがあったので、
強い気持ちで挑んだのですが
結果、不合格・・・・
お相手二人は、仕掛けまでにずいぶん長い時間を錬ろうとする方だったので
やり取りできたのは多分3~4回。
8段審査としては適量でしたが、
残念ながら、懸待の呼吸がかみ合わず、無駄打ちが頻出・・・
評価対象外といったところでしょうか。

午前中の審査、恐ろしいことが起きました。
第3会場と第5会場の一次審査合格者・・・ゼロ!!!!
50歳代前半と後半のそれぞれの会場約50〜60名が全員不合格・・・

でも、
この理由、多分解ります・・
何度も不合格を経験してきた多くの受験生が、
相手に対して疑心暗鬼になって警戒しすぎるので
お互いの打ち出しが一致しない、
お相手を引き出せないので、待って小手や胴を打つ。
ご本人の立会い中の打突の記憶とは裏腹に、
審査員からは評価対象外といったところでしょうか。
皆さん、「お相手への疑心暗鬼」という病にかかっているようです(私も含め・・)。

この日の受験生、725名。
合格者、5名。
合格率、0.7%

二日目の受験者、942名
合格者、8名。
合格率、0.8%

キャプチャ_512.jpg
新潟県K先生の2次審査
風格あふれる立ち姿でした。

二日間、審査を拝見しながら色々と反省しました。
何を反省したかというと、これからの稽古内容の吟味。
以前のように長時間の稽古は、もう腰がもたないので
「基本稽古から地稽古中の所作・挙動を緩まさないこと」、
「円滑な送り足」、
「静と動の使い分け」、
「構えから発して構えに至る」、
といったことを常に凝集して意識化しなければならないということの反省かな。

原点に帰り、
「構え力の持続」「呼吸力の徹底」「体中剣」のまとめ直しをすることが
最後のぎりぎりのところで、
余計なことをするようになってしまった今の私の課題です。


夜、上越タカシマ君と恒例になった食べ道楽しました。

キャプチャ3_512.jpg
今年は沖縄料理とオリオンビール

IMG_0890_512.jpg
古都の沖縄、前菜の10点盛り
名前は思い出せないけど、その他にも沢山食べました。
ご馳走様。



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2015年03月19日

春のロード2015(受験者講習会 in 新潟市)

春のロード2015その4は
新潟県受験者講習会 in 新潟市でした。

20150315130252(1)_512.jpg
日時:平成27年3月15日(日)
会場:鳥屋野体育館
講師:濱崎満範士8段
講話
審査員の目として
・「歩合・錬度・品格」から総合的に判断している。
・歩合は。有効打突の有無、一本でも良い
・錬度は、日頃の稽古量・内容で養うしかないが、本番では相手をさばくこと
・品格は、例えば着装。稽古着もあまり色あせてないものを

具体的注意点として
1.「攻め―崩し―理で打つ」:常日頃から気争いの稽古をすること
理で打つ:間の調節、気を浮かせない事
2.「蹲踞」の重要性:重厚に
3.構えや姿勢に関する仲間の助言を素直に受け入れる
4.すべてを相手に向ける:足先、膝、腰、剣先等
5.打突姿勢:左手、左ひじの収まり
6.知らない人との稽古を増やす
7.基本稽古:突き抜ける稽古をすること
といった点についてお話を伺うことができました。

立会いの模擬審査も見ていただき
貴重な助言をいただきましたが
「二人目の大事」を肝に銘じようと思いました。
指導稽古では

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この構えから・・・

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皆さん、このように打たれます・・・
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春のロード2015(大阪体育大学春合宿 in 和歌山)

最近忙しくてなかなかブログ更新できませんでした。
病気になっていたわけではありません。

さて、
大阪体育大学春合宿 in 和歌山に行ってきました。
今年で作道範士が大阪体育大学を定年退職されるので
なにがなんでも稽古を頂きに行ってきました。

基本稽古_512.jpg
日程:平成27年3月8日(日)―10日(火) 2泊3日
参加者:直原・池川・菊池・北島・金子
会場:和歌山ビックホエール武道場

20150310集合_512.jpg
稽古は、3月8日:雷多先生、3月9日:作道先生、3月10日:作道先生・神崎先生に頂戴し
満足な春のロード in 和歌山といったところでしょうか。
私の腰痛と下肢の痺れも何とか保ちました。

作道範士からは
「うまくやろうという気持ちがあると大抵失敗する・・
相手との対峙の中で、ズゥ〜、スッ、ソレィ、スッと攻め立てる中で
バクッ! と打つ」
といった、いつもながらの独特の指導をいただく中で
「まぁとにかく、お前、もういっぺん作り直せ」
「まだ打ちたがっているから、打たない稽古せぃ」
との助言もいただいた。
ありがたいことです・・・・

作道範士ご自身は、股関節障害の悪化で「踏み込み足」ができないので
「踏み込み足もどき はするけど、
本当に踏み込むのは、年に1回か2回、
最近は、送り足からバク!と打てないかと工夫している」
とのことでした。

以下に、作道範士から「読んどいて」と頂いた
大学での最終講義の資料の一部を備忘します。

「肉体のもっとも合理的な持ち方というのは
1.姿勢の上からいえば、腰を立て、身の筋合(すじあい)を整え、
下腹に力を湛え(たたえ)、胸から上を虚に保つ
ということであり、
2.呼吸の上から言えば、吐く息と共に下腹に力が入り
次にその力をわずかに弛めて気息を肺底に押し入らせることである。
(丹田息)
筋肉が自然に緩み切った状態というのは
人が床に臥して眠っている最中における筋肉の状態である。
日本においては、武道にあっても
すべて、当面の営みに用いる筋肉を
眠っている時と同じような弛緩した状態に保つことを要領とする。
それがかなり完全に達せられなければ
“技、神に入る”というごとき名人の境地には達しえないのである。
「武道の神髄」佐藤通次

この「わずかに弛めて」が大事ですよね とお聞きしたら、
「そうや・・」
とのことでした。

「人生は、否定の非痛感をこめてもちつつ、
ぜんたいとして明るく、めでたきものである。
この人生道を、根底の否定から出発して
全世界の調和感にまで高めて体験する厳粛な行事の一つが
日本の武道である」
作道正夫, 2015.3.吉日

knnzaki _512.jpg
神ちゃんの出端面の指導
「先」の兆しを感じ取ることと
その際の足の送り出しにポイントがおかれました。

雷面_512.jpg
雷君の面
全てが「面あり!」
何しても通じませんでした・・・




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2015年01月05日

自らの心身を耕し耕し2015.1.4

大学で新年の稽古会をしました。

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1月3日 10:00〜11:30 6人

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1月4日 10:00〜11:30 11人
オオシマ先生は、高校生の時以来26年ぶりの大学での稽古でした・・・

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元旦からは、なかなかの積雪だったのですが
大学は休み期間なので構内の除雪もお休みです。
なので、私は早朝から体育館入口までの雪道掘り・・・
なかなかのエネルギー消費になります・・

新年の年賀で作道範士より
「自己の心身を耕し、耕し、八段位とは何か、
その求道の心と取り組みこそが大事と思います
一考を!」
との厳しい叱咤と課題をいただきました。

雪を一掘り、一堀り、その度に
求道の心と取り組みに思いを馳せましたが
自身のいたらなさに、自己肯定感は下がる一方です・・・

とにもかくにも
兀々(こつこつ)と毎日、毎日、やるしかありません。

もっと良い「面」が打てますように・・・
そして
これ以上、体の故障が増えませんように・・・

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林君

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大濱さん

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内藤君

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渡邊さん

高嶋_512.jpg
高嶋君

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最近の後ろ姿・・・











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2014年11月05日

良い子は真似しないようにお願いします「巻き技」2014

今年度の全日本剣道選手権大会の準々決勝で
私の大学の後輩の西村選手が
(同門の後輩なので書かせていただきます)
鍔競り合い中にお相手の竹刀を弾き飛ばして
「竹刀落とし(離し)」の反則をさそいました。
それが同様に2回も起きたので
併せて「一本」となりましたが
あのような行為は、どのように考えればいいのでしょうか・・・
しかも、剣士としての名誉をかけた選手権大会です・・・

偶然の行為というよりは
また、一本を奪うための業前の崩しというよりは
「鍔競り合いの裏交叉の際に相手の竹刀をすっ飛ばすための技」であり
その「技(?)」を
明らかに洗練されたレベルで使いこなしているように見えました。

そのような行為で勝敗が決していたらとしたら
ご本人たちも、審判も、観衆も
後味悪い結果になるのではないかと思ったので
少しだけ書く気になりました。

実は、あの行為、
大学生の試合経験の豊富な選手は、よく行います。
「試合の公正を害する行為」ギリギリの許容範囲で行われます。
でも、あれほど上手にはできる人は少ないので
竹刀が飛ばされる場面までには至らずに終わっているのが大半です。
そして、行っている選手は
審判員の心証を悪くして
「損」します。
何度も行うと
「正しく鍔競り合いをしようとしていない」
「試合の公正を害する行為」
と判断されて、合議の上で反則になります。

しかし、
あんなに上手な見本(?)をテレビで見せられたら
「これは便利!」とばかりに
剣道の試合が大好きな小学生や中学生が
真似しだすのではないかと心配しています。

良い子は真似しないようにお願いしますね・・・

剣道で、お相手の竹刀落とし(離し)を誘う技に
「巻き技」があります。

ユーチューブなどでは
8段戦で奥山京助範士が森島健男範士の竹刀を
鍔競り合いの別れ際で巻き落とした場面が有名です。
http://videosoc.ru/video/cR1WPAyI5CI/video/
「巻き落とす」というより、その時は「巻き上げ」ましたから
竹刀は宙高く舞い上がり、場外まで飛んでしまいました。
当時、私は大学生として武道館でその場面を観戦していましたので
鮮烈な印象で記憶しています。

巻き技は、剣術からの流れでいえば
「鞍馬流の『変化』というすりあげ、すり落としの技が、
巻き落としに通じるということで、広く知られ研究されています。」
(鞍馬流剣術第十八代宗家 柴田章雄先生)

そして
故、岡田守弘範士などの場合、
「鞍馬流剣術の技「変化」で会得した竹刀の巻き落としを得意とした。
一度も打ち合いせず富山県警察部師範の松本重平は9回、
武道専門学校教授の佐藤忠三は6回も竹刀を飛ばされた。
大島治喜太も度々竹刀を落としたが、
大島は「そのような技をやっていると大成しない」
といって巻き落としを禁じ、
斎村五郎もこれに同調したため、
岡田は巻き落としを使わなくなった」
とされています。
(ウィキペディアより)

また、
ヤフー知恵袋で検索すると、このようなやり取りもありました。

質問:
剣道の巻き技って、相手の竹刀飛ばすためにやる技なんですか?
あんまり正当な技じゃないですよね?

回答:
飛ばすことが目的じゃありませんよ。
払いやすりあげと同じように、崩し技の一つです。
相手の竹刀をくるっと巻くと、相手の片手が
竹刀から外れる時がありますし、
巻かれたことで一瞬相手がドキッとする。
その隙をついて、中心を取って打突に行きます。
その結果、竹刀が飛んでしまうことがありますが、
その際には相手の竹刀が両手を離れた時点で
反則となるわけですが、飛ばした本人は
きちんと残心を取っていればなおOK。
とはいえ、かなり手首の冴えが必要になる、
なかなか奥の深い技だと思います。
ちなみに、上の先生には絶対にやってはなりません(^_^;)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1377631003
といったやり取りもありました。

鍔競り合いの別れ際や
中段に構えなおしたときの気の緩みを戒める意味で
師匠が弟子に巻き技を使うことはありますが
それ以外の場面で行うのは
一般的にはタブーといってもよいでしょう。

実際、
私の経験からも
師匠以外の方から稽古中にこれをやられると
かなり不快で
ムカつきます・・・・

肘や手首に腱鞘炎があるときに
これをやられると
かなりの激痛があるので
「やられたら倍返し」感が生じます・・・

良い子は真似しないようにお願いします
「相手の竹刀をすっ飛ばすためだけの巻き技」・・・・

註:ただし、手の内の鍛錬として巻き技を稽古して
体験しておくのは良いと思っています。
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2014年10月20日

全剣連後援指導者講習会2014 in 新潟 がありました

全剣連後援指導者講習会がありました

日時:平成24年10月18日(土)10:00〜16:00
会場:新潟市黒崎総合体育館
講師:加藤浩二範士8段、福本滋彦教士8段
対象者:新潟県審査員
 私を含めて、約30名が参加しました。
私は実技はパスして見学だけ・・・
皆さんから腰のご心配をいただきました。

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世界大会の時の日本代表総監督もおつとめになられた加藤範士には
1時間にわたる講話、審判実習・日本剣道形・指導稽古と
熱心にご指導いただき、受講生には有意義な一日になったのではないでしょうか。

「判っていることを出来るようにする。
出来ていることを、分かるようにする」(加藤範士)

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私の印象によ〜く残ったのは剣道形の指導でした。
「気の流れ」と「一拍子」を高段者の形稽古時の課題とし、
特に、太刀1本目、3本目、4本目、6本目が印象に残りました。

20141018134923(1)_512.jpg
・太刀1本目
 「イ〜ヤ〜ハ〜」、「ヤァ、トゥ」の呼吸法に乗せての「気」の運び。
「ハ〜」の間における「機」の造り。

・太刀3本目
「突き」「入れ突きになやし」「突き返し」の一連の流れにおける「気のつながり」。
仕太刀の「萎やし突きと位詰め」を左自然体・右自然体となって物打ちの鎬で押さえた時の剣先が仕太刀の咽喉部についていること。

・太刀4本目
八相の構えと脇構えから3歩進み、「互いに諸手左上段に変化し、右足を踏み出して大技で切り結ぶ。」のは一拍子。
「鎬を削る」の大事。

・太刀6本目
「打ち太刀は仕太刀の刀と合おうとする瞬間、右足をひいて諸手左上段に振りかぶった後、仕太刀がすかさず中段のまま大きく1歩進むので、打太刀が直ちに左足をひいて中段となる」場面(長くてすみません)の「直ちに左足をひいて中段となる」時は、しっかり気を込める。(この時の範士のオ〜ラは流石でした)

最後の指導稽古では、
掛手の皆さんは加藤範士に激しい懸かり稽古状態で
かなりボロボロにされていたようです。

見学してて、良かったぁ・・・
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2014年09月16日

「切り返し」と「打ち返し」の違い(2)

以下は、中村民雄先生の「剣道辞典」(島津書房, 1994)を参考にしました。

「切り返し」が単独の運動形態として解説されたのは
明治時代末期ころに
小関教政「剣道要覧」(大日本武徳会山形支部、1910)が初出とされています。
それまでは、
「撃ち込み稽古」の中で総合的に取り扱われていたのが
明治末期頃に「切り返し」が単独の稽古法として扱われ
さらに、
大正末期頃に「掛り稽古」が類型化され
現在のような
「切り返し」「打ち込み稽古」「掛り稽古」として
別々の稽古法になったという経緯があるようです。

明治末期頃に行われていた「切り返し」で強調されていたのは
「表裏の面を矢筈掛け」に打ち込むことであり
戦前の剣道書には必ず「矢筈掛け」という言葉が用いられている
とのことです。

ところが
ごく稀な例として
「石川県剣道研究会:『石川県剣道教科書』文学書院、1934」のように
「左右から切り返すときも真直ぐに振り上げ、剣先を後で廻さない」
と指導している例もあるそうです。
(現在でも一部の指導者におられるようです・・)
これについて中村氏は
「真直ぐ振り上げたのでは切り返しとはいえず、
まったく違う運動形態であるとしかいいようがない」
としています。

そして
戦後は学校剣道を中心に「打ち返し」という言い方があらわれましたが
この時に「矢筈掛け」という言葉を削除してしまったため
切り返し本来の運動形態が曖昧になってしまったということです。

また、当初の切り返しには「体当たり」が含まれておらず
「体当たり」もセットで扱われるのは
大正末期頃の「撃ち込み体当たり切り返し」からということです。

その他、切り返しには色々な方法があって
・その場で面を打つ「その場切り返し」
・前進しながら左右面を打つ「前進切り返し」
・後退しながら左右面を打つ「後退切り返し」
・相手と交互に行う「左右交互切り返し」
・「撃ち込み切り返し」
・「撃ち込み体当たり切り返し」
といったものを
昔は稽古者の技量に合わせて稽古法として使い分けていたということです。

全剣連で行っている一般的な切り返しは
「面打ち込み・(体当たり)・前進4本・後退5本・2往復切り返し」(:?)
ということになるのかな・・・
posted by カン at 09:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 剣道覚書

2014年09月08日

「切り返し」と「打ち返し」の違い

この夏、
どこかの剣道の集まりで
某先生が
「切り返しと打ち返しは方法が違うのだ!」
と力強く発言された。

周りにいた我々は
「そうなの?」
という感じで聞き流したため
議論には発展しなかったが

そのことがずっと気になっていたので
取りあえず、言葉を整理してみた。

まず、公の表記として
全剣連の表記によると
「幼少年剣道指導要領」では:切り返し(打ち返し)
「剣道社会体育教本」では:切り返し
「剣道講習会資料」でも:切り返し
ということで
「切る」という表記が主になっている。

文部科学省の表記では
「剣道指導の手引」では:打ち返し(切り返し)
となっていて
「切る」ではなく「打つ」を用いる傾向が見取られる。
さらに
「中学校学習指導要領解説」では、この「打ち返し」の例示はなされていない。
例示では、
「中学1-2年では相手の動きに応じた基本動作から、
基本となる技を用いて攻防を展開できるようにする。」
そして3年生では、
「それらの技の上達を踏まえて、しかけ技や応じ技を用いた自由練習や
簡単な試合で攻防を展開することが出来るようにする。」
とされ、技としては
「二段の技、引き技、出ばな技、払い技、抜き技、すりあげ技」
などが挙げられている。
そして、
学習指導要領で「打ち返し」が取り扱われていないのだから、
「日本武道館、全剣連、全日本学校剣道連盟」が主催する
全国剣道指導者研修会の研修内容でも、
切り返しの指導法は扱われていない。

まぁとにかく、
現代では「切り返し」と「打ち返し」は同義でも構わないと思われる。

歴史的には
戦前から戦後までは「切り返し」が一般的だったらしく
(出典不明、私の私的メモにコピペで残ってた・・)
そして戦後、
学校体育でスポーツとしての実施が認められた「格技(剣道)」では
戦前・戦中剣道において強調された「切る」・「斬る」の観念を「打つ」に改めたために「打ち返し」という用語を用いるようになる(出典不明)。
ということらしい。

一方、剣道の理念が制定され
(昭和50年3月20日制定 財団法人全日本剣道連盟)
「剣の理法の修錬」といった「剣」の観念が強調され
「切り」返しという表記も
現代人には戦前・戦中の剣道をイメージするものではなくなってきたことから、
全剣連では「切り返し」という表記が用いられているものと
どなたかが書いておられた(出典不明)。

ただし、
「打ち返し」という言葉がまだ残っているため、
私的な指導法としては
「打ち返しと切り返しは技術的にも異なるのだ!」
という解釈も可能ともいえる

打ち返しは、「打って・返す」
切り返しは、「切り込んで・返す」
といった感じかな・・・

そういえば大学生時代は
恩師の今井範士から
「打って返す」打ち返しと
「切り込んで返す」切り返しの2種類を指導されたこともあったから
今だって
「打ち返し」と「切り返し」の二種類の手の内の鍛錬があっても構わないかもしれない・・

両者ともに大切なのは
矢筈掛けに切り込む(打ち込む)こと 
要するに「V」字の角度、
45度で打ち込み、打ち込んだ軌跡を通って頭上で反対側に返して、
また45度で打ち込むことが大事。

中途半端でまとまっていませんが
上記程度の事を備忘録に残すことにします。

「矢筈掛け」の矢筈とは
yahazu.png
これです。
posted by カン at 17:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 剣道覚書

2014年05月19日

学生剣道連盟主催の剣道審判講習会(北信越)2014がありました

日時:平成26年5月17日(土) 13:00−17:00
会場:新潟大学第三体育館
講師:
濱口雅行先輩(関西大学OB・剣道教士8段) 
堀山建治先輩(中京大OB・剣道教士8段)
参加者:45名(各地区連盟学連OB、県連盟会員、大学院生等)

学生剣道の正しい普及と発展のために、
審判員の「資質向上と審判技術のレベルアップ」を図ることを目的とする
という趣旨で、
年に4回、全国4地区で行われている審判講習会です。
多くの方に参加していただきたいため、
講習は無料の上、参加者には若干の交通費も支給されるという配慮もされています。
今年は、全国学生剣道オープン大会が北信越連盟主管で開催される(12月)こともあり、
新潟県で審判講習会の実施をお引き受けしました。
さて、今回の覚え書きとして

DSC09970_512.jpg
講話
・知識に裏付けられた経験を積むこと
・知識とは、所作(宣告・表示)と処置に関する知識のこと
・ルールを熟知した上での正確な知識が必要であり、
 多くの方が所作や処置は経験で済ませているのが現状。
・専門用語の正確な使用(「試合場」「目印」「名札」「中結い」「剣道着」「剣道具」等)
・有効打突における要件と要素の理解
・要件とは、「打突部位」「竹刀の打突部」「刃筋」「強さと冴え」
・要素とは、「姿勢」「気勢(発声)」「間合」「体捌」「機会」「手の内の作用」
・正確な打突としての有効打突は、まず要件を満たすことを第一とする
・試合者の錬度に応じたさじ加減(要素) 等

審判実習
・待機姿勢
・試合場への入退場
・審判員の呼吸の合わせ方(主審)
・位置取り(試合者と離れすぎない、自信のない審判ほど試合者から離れる傾向あり)
・宣告の所作の様々な事例
・引き技の判定
・鍔競り合い
・副審からの合議要請 等

また、質疑応答の時間では、
通常は皆さん遠慮してあまり盛り上がらない時間となることは多いのですが、
濱口、堀山両講師の巧みな話術と親しみやすい人柄もあって
大変活発な意見交換を行なうことができました。
講習会に参加した方々も、満足していただけたのではないでしょうか。

合同稽古
約45分でしたが、両講師にそれぞれ10数名はお願いできたと思います。
私も久しぶりに堀山講師にお願いできました。
また、某高校の某先生が、
今まで見たこともないほど熱心に講師に掛られていたのが印象的でした。
(誰だか言いません)

翌日は
第56回北信越学生剣道選手権大会(於:新潟大学)がありました。

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わが校は
3年生 北島・金子
2年生 新保
1年生 山崎 が参加しました。
コーチは大学院生の菊池君です。
皆、初戦で惜敗しましたが、
わが部員たちは最近とても熱心に稽古していたので、
報われなかったのがとても残念でした。
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この日、男子で優勝したK君は、
本学の事務官を務められていたときに剣道部の稽古にも来られていたKさんのご子息です。
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女子で優勝したTさんは、上越・吉川出身のマヤちゃんです。
どちらも2連覇です。おめでとうございました。
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その他、北城出身のN君は3回戦
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高田修道館出身のK君は2回戦まで進み、健闘していました。
posted by カン at 16:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 剣道覚書