2008年9月3日
工学院大学の夏合宿に参加したことがあった。
その際、
師範を務められている高橋彦松範士八段(当時84歳)にお稽古を頂戴した。
先生は、猛烈な気勢と大音声の掛け声で私に稽古をつけて下さった。
剣先の攻防の中では、
私が打ち出す機会を与えてくださっているのが感じられたのだが、
私は高橋先生の気迫や気勢をもっと味わいたくて、
いつまでも負けじとばかりに「やぁやぁ」と大声を出していたことを覚えている。
その時は、
我慢できずに打ち出した私に、
押さえ小手、返し胴と対応していただき、
あろうことか、
最後には「では、勝負一本」と歩合稽古まで付き合って下さり、
稽古後の礼でも
「こんな年寄りでもお役に立てましたか?」
などという慈愛にあふれたお言葉を頂き、感無量だった。
あれ以来、高橋範士の大音声の気合を思い出すことがよくあった。
2012年8月24日、
数馬監督の取り計らいで
4年ぶりに工学院大学の合宿(in 赤倉)にお邪魔することができた。
今年は、学生有志・院生・イケガワ先生達も一緒だった。

そして、88歳になられた高橋範士に稽古を御願いすることができた。
4年前と同じように
私に打ち出しの機会を与えて下さり
絶妙の面返し胴を、何度も頂戴した。
稽古後、私の右手の手の内の狂いについてご指摘いただいた。
(これはありがたかった)
その時、
「ワシの言うこと、真面目に聞いたらあきまへんでェ〜」
などと付け加えられたのが、なんとも可笑しかった。

お昼休みに、4年間気になっていた範士の気合の秘密についてお聞きした。
幼少時の恩師が発声にはことさら厳しかったことや
元来、声は大きかったことなどの背景も明かしてくださったが、
思想性としては
範士曰く
「かりそめにも命のやり取りを想定した立会いにおいて、気の抜けた気合などあろうはずがない」とのことだった。
なるほど・・・
今年も合宿中の体育館正面に
「広心胖体」の部旗が掲げられていた。
紀元前430年頃、四書五経のうち「大学」の第四節に
「富は屋を潤し、徳は身を潤す。心広ければ体胖(からだゆたか)なり」
とある。
工学院大学剣道部師範、高橋彦松範士が長年勤務されていた三菱電機(株)神戸単身寮の玄関に掲げられた文言であるそうだ。

少人数の部員でも、内容は本格的

お昼休みに温泉行きました

お昼ごはんは「レッド焼きソバ」食べました。
赤色はトウバンジャンの色だそうです。

お別れのお見送り